俺達のコラム 「言いたい放題」


別に悪いとは言わない・・・
電車の中で弁当を食う女



6月のある日の午後、梅雨時にかかわらず、暑い日差しが注いでいる。私は電車に乗って都内方面に向かっていた。比較的空いていたので、冷房の効いた車内に腰掛けて、ぼうっとしていた。ふと前を見ると、鏡を見ながらせっせと化粧に余念がない女の子が座っている。女の子といっても子どもではない。20代前半といったところか。めちゃくちゃ凄い着け睫毛のその子は、きっと化粧を落としたら相当不細工であろうという面構え。(いや、これは失礼。本当は可愛いのかもしれないが、あまりにも浜崎アユミを意識したような凄い化粧なんで、逆に地はその対角上にあるんじゃないかと思ってしまうわけだ。)手がせわしなく動く。たぶん、ファンデーションを塗っているのだろう。あんまり覗き込むように執拗に見ていると変なおやじだと思われるので、中吊り広告など見ていたものの、暫くしてから再び見たら、今度はなんか良く分からないが目の辺りを棒のようなこので擦っている作業をしていた。そう、化粧というより、作業といったほうが的確かもしれない。約20分間その作業は続いていた。私はそこで電車を降りたのだが、おそらく終点(東京駅)までは続きそうな気配だった。

公共の場で堂々と化粧する習慣はいつ頃から始まったのであろうか。最近良く目にするようになった。以前は絶対に見かけなかったような気がする。別に他人に迷惑をかける行為ではないのだが、なんか、ちょっと、という気がしてならない。高校生が派手な化粧をする時代だから当たり前なのかもしれない。しかし、聞くところによると、化粧をし始めた頃(1980年代の高校生辺りか)の高校生は電車の中では絶対に化粧しなかったと言っている。化粧をしているところを見られるのが嫌だったらしい。学校の帰りに渋谷で遊ぶのだって、公衆トイレに駆け込んでこっそり化粧する。常識はどんどん変化しているので、こんなこと言ってると古臭いおやじと一笑に付されかねない。

化粧もそうだが、電車の中でものをぱくぱく食べている女性も急増した。チョコレートや、せんべいの類をむしゃむしゃ頬張る。時には、調理パンや凄いのになると弁当まで食べている。行楽が目的でそそれ系の電車ならいざしも京葉線、山手線などでも弁当女はいる。常磐線や総武線の深夜には、おやじがワンカップ大関だの缶ビールをサキイカをつまみにして飲んでいる光景はよく目にしたが、かえって少なくなっていると思う。今や、弁当女が台頭しているのだ。どこからお湯を仕入れたのか、駅のホームにぺちゃんと座り、カップ麺をがつがつ食っている女子高校生もたまにいる。これは凄い。自分の娘だけはそうなってほしくない。

ごく少数にしろ、駅ホームで女性の歩きタバコも目につく。もちろん、喫煙場所でないところを吸って歩くのだ。若い娘さんに多い。私は、単に男が良くて女が駄目だとは言わない。そういったかつては見られなかった女性が多いという事実だけを捉えている。そして、思うのは、女性のなんというか、価値観がめまぐるしく変化したような気がする。私は男だからそうなのかもしれないが、男は数十年前から本質的に変化していない。女性のそれが変化している様は色々な場面で確認できる。電車の中で弁当を食ってはいけない、化粧してはいけない、ホームでカップ麺を食べてはいけない、なんて法律はどこにも無いかもしれない。でも明らかにかつては、「そんなはしたないこと。」と思われていたことが、彼女達の中ではまったく問題無しなのだろう。

今日もまた電車の中でせっせと化粧する女性を見た。空いている午後の上り電車の中、必ず遭遇する。その光景を見るたび、複雑な思いになるのは私だけなのだろうか。

2003年7月5日 匿名(スーパーのぶ)
編集 : ザキ@俺達HP(若干加筆修正させて頂いております。)


俺達のコラム
俺達のホームページ