昨年10月末、久しぶりに登った丹沢(神奈川県)で思いもかけず熊と鉢合わせをするというハプニングを経験しました。痩せた岩尾根上で両側とも急斜面の逃げ場のない最悪のケースで、一時は熊との格闘も覚悟しましたが、私の絶叫と手当たり次第に投げつけた石にひるんで、熊笹(これが本当の熊笹)の中を谷底へと駆け下って行きました。熊の大きさはゴールデンレトリバー位もあり、しかも一度下った斜面を登り直して反対側へ下るというご念の入った行動でした。この間の距離は4〜10メーター位しかなく、暫くの間は大声でコールを繰り返していました。 あとで通報した山小屋の人の話では、生態系が狂ってきた為だろうとのことでした。 いずれにしても、あと2〜3秒ずれていれば重大事故となっていたと思われます。 私も今日(こんにち)迄健康に恵まれ還暦、古希の節目も無事通過して来ましたが、今回の事件は私に対して「そろそろお前も来し方行く末を考えろ」との天の啓示ではないかと受け止め、改めてわが人生を反省しております。 今世紀になっても世界情勢、国内情勢共に暗雲が垂れこめ強気一方のアメリカ対イスラム、そして北朝鮮問題は一触即発の危険をはらんでおります。 又世界第2位の筈の日本経済は長引く不況のどん底にあり、急成長の中国が脅威となりつつある有様で、私たち高齢者にとっても年金、税金、医療費、保険料問題などでこれから負担が増える可能性があり心配です。 しかしながら、わがベイタウンだけはこの不況どこ吹く風で、新築マンション工事が活発に行われ、街中には子供連れの若夫婦が目に見えて増えてきています。ゆったりとした街並み、いくつもの公園や緑地、富士山の見える海岸等を配し、まさに理想郷でしかもまだまだ発展中とのことです。 私ども夫婦は一昨年此処ベイタウンに引っ越してきて以来、日にちを追う毎にその素晴らしさにぞっこんほれ込み、まさに「終の棲家」と思い込んでいますが、この恵まれた境遇に報いる為にも地域のボランテア活動に積極的に参加し、少しでも地域社会に奉仕するのが第一と考え今年もがんばっていきます。 初夢はヒマラヤで熊でなく雪男(イエティ)に出会う事です。 「憧れから人生の大きな喜びが生まれる、憧れはいつでも抱いていなければならない。私は思い出よりも憧れが好きだ。」 GUSTON REBUFFAT
パティオス18番街 飯島耕造 オアシス通信16号(2003/01/01)より |