東武東上線の上福岡の駅の近くにある話題の店「條辺」(じょうべ)に行ってきた。本格的な手打ちの讃岐うどんが食べられる店だ。元巨人軍のピッチャーの、あの條辺のお店だ。今年の4月にオープンして以来、大変な人気で、いつもほぼ満員だという。私が店に入ったのは1時半頃で、ピークを少し外してみたが、それでも8割くらいのお客さんで埋まっていた。
彼はマックス150kmの球威を誇る栄光の巨人軍の中継ぎピッチャーだった。残念ながら戦力外通告を受け、24歳という若さで野球界を去り、失意のどん底に。しかし、同郷の先輩である水野の薦めもあって、うどん屋になる決意をし、讃岐うどんの本場、香川県で修行をした。昨年放送された「戦力外通告」というTBSテレビでも伊良部や、芝草宇宙などのかつてのスター選手に混じり、彼もまた題材として取上げられていた。修行時代の手取りは16万円ということを言っていたので、かなり大変だったと思う。そして、今年の春、念願叶って上福岡にうどん屋をオープンさせたのである。
| | | | 透き通るつゆに、極太のコシの強い麺。 一所懸命打っている姿も見ているから、余計に美味しく感じるのだろう。 | | | |
暖簾の字は長島茂雄氏(元巨人軍監督)の直筆。もちろん脳梗塞を患った後。右手が殆ど使えないので、左手で書いたらしい。字に條辺を慮る真心のようなものが潜んでいるような気がする。暖簾をくぐると、彼はちょうどうどんを一所懸命打っていた。背中をこちらに向けて、作業している。しかし、お客さんが入ると同時に「いらっしゃいませ!」と叫ぶ。不思議だったが、ステンレスが鏡のようになっているからだ。
次に彼は、うどんを茹で始める。大変な作業だ。汗びっしょりかいている。うどんを打つのと、茹でるのは彼の仕事。それを丼に入れ、つゆを入れ、お客さんにお出しするのは3人の若い女性の仕事だった。即ち、彼が次々にうどんを作らないと無くなってしまうのだ。
セルフサービスになっていて、お客がトレイを持ってカウンタに並び、好きな商品名を告げ、女性スタッフに盛ってもらう。天ぷらは自分で取る。私の前には4人並んでいた。茹で上がるまで6、7分待った。私はインゲンと、ちくわの天ぷらを頂いた。注文は、かけうどんの2玉。しっかり打ってるから、コシもあるし、そして、あっさりとした、しかし、出汁の効いたつゆもいい。香川に行って、讃岐うどんを食べたことが無いが、少なくとも今まで食べた讃岐うどんの中では一番旨い。一所懸命作って、それで「かけうどん」が380円。2玉で430円。安い!!
正直、元野球選手の、っていうか、ちょっと有名人だから、たいしたことなくても、ちやほやされているんだろうと思ってたけど、大間違い。間違いなく本物だ。きっと、スポーツ選手だから、力があるから、強いコシが出来るのかもしれない。それに真心がこもった味がする。 極太のうどん2玉をいとも簡単に食べ終わり、そして、つゆも残さず頂いてから、彼の写真を撮らせてもらった。とても丁寧に対応してくれた。スポーツマンらしく爽やかで、愛想も凄くいい。「おいしかったよ。」と言ったら、大きな声で、「有難うございます!」と返してくれた。頑張ってほしい。
(上は昨年10月に放送のTBS「戦力外通告」からのビデオキャプチャーです。)
讃岐うどん 「條辺」 営業時間 7:00〜15:00 / 定休日 矢曜日 住所 〒356-0004 埼玉県ふじみ野市上福岡1-7-9 電話 049-269-2453 *火曜日が祝日の場合は営業、その翌日が休業。
ベイタウンから行く場合はJR京葉線で新木場。新木場から川越市行きの有楽町線・東武東上線直通電車に乗車する。和光市行きで、和光市で乗り換えても同様。また、武蔵野線の北朝霞で東上線に乗り換えるルートでも良い。
2008年7月8日 Zaki
(しばざ記・コラム) |
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*この記事は茂野製麺株式会社のWEBSITE「茂野麺紀行」にも出稿しております。 |