ベイタウン旅行倶楽部

遠くから眺めるだけで、胸がキュンと鳴る郷愁の山
筑波山(その2) 「登ってもいい山だ。」 前編

2006年10月22日 桜川市(?)からの筑波山。旧真壁町

前置きから。この1ヶ月の間、このベイタウン旅行倶楽部に、立て続けに5通のメールを頂いた。内容としては「共感した」、「私も行ってみたい」というお褒めの言葉と、「もっと研究が必要」などのご指摘もあった。5通のメールなんて、超人気サイトから見たら、実にどうでもいい数字なのだが、私(このサイトを主宰してますZakiです)からすれば、もう超びっくり。非常に嬉しいのである。

メールをくださった皆様、遅くなることも多々ございますが、必ず返信させて頂きます。また、ごく稀に、せっかくくださったメールが、「迷惑メール防止フィルター」の誤作用(設定ミスが原因?)、または私のうっかりで削除されてしまうことがありますので、その辺りは予めご容赦ください。小生へのメールは、>>>こちら<<<です。
2006/11/3 Zaki

さて、ここから筑波山に関する旅行記になる。
今から約10日前の10月22日(日)、私の仕事の一環として筑波山ろくへ出かけることになった。柿沼製粉という真壁町の「そば工房」を訪ね、そして、その柿沼製粉のそば粉を使う人気のそば処「山居」(石岡市)を訪ねるという行程である。いずれも筑波山のすぐ近く、いや、「山居」はまさに筑波の懐であるので、筑波山に登らないわけがない。しかも、日曜日とあっては妻子も連れてゆかないわけにはゆかない。

ということで、本来ならライター、カメラマン、諸々といういかついクルーでの仕事が一変して楽しい行楽へとなった。先ほど、「そば工房」の場所を真壁町と記述したが、今、合併による「市」の昇格とか名称変更で、茨城県内の地名がわけの分からない状態になっている。もっとも私の勉強不足も大いにあるのだけれど、真壁町が無くなっているのにはびっくりした。そのほかにも合併が至るところにある。従って、旧地名と新地名が混在する文章になることをお許し願いたい。

(右上の写真は、このページの一番上にある筑波山の写真を撮影した場所の近くにある骨董品屋さん。
かっこいい建物だ。)

[関連ページ]
>>> 前回の私の筑波山記(2003年)



幕張を出発したのは朝8時40分頃。少々ルートの選択に迷う。オーソドックスな行き方は、都内まで湾岸で行き、葛西ジャンクションで中央環状〜小菅〜三郷と経由し、三郷から常磐自動車道、そして、桜土浦というインターチェンジで降りるというものである。しかし、このルートは一旦都内に出るということで、距離的なロスがあるのと、中央環状が何だかの原因で渋滞していることがあるので、できればあまり使いたくない。それに、高速料金が余計にかかってしまうというのもある。

そこで、迷った末に16号で柏まで行き、そこから常磐道で行くという手段を取った。この方法だと距離的なロスが少ない代わりに、16号がとんでもない渋滞の時があるので、要注意である。幸いなことに、今回はスムーズだった。他にも東関東自動車道を成田まで行き、そこから一般道(408号)を北上する手もある。また、潮来まで行ってから霞ヶ浦と北浦の間を石岡方面まで北上する手もある。霞ヶ浦の観光を兼ねるのならこのコースはお勧め。水郷の辺りにも寄れる。

上の3枚の写真は常磐道の守谷サービスエリアにて。池があって鴨もアヒル(?)もいる。真ん中の写真は、笠間の菊まつりの宣伝。

行楽シーズンなので、常磐道は思ったよりも車が多かったものの大した渋滞もなく、桜土浦インターチェンジを下りた。ここからは一般道で真壁町(旧名)を目指す。筑波研究都市の真ん中を南北に縦断、郊外に抜けると正面右手に筑波山がどどーんと出てくる。このページの一番上の写真だ。こんなに近くで見たのはおそらく十年ぶりくらいだろう。天気はやや晴れているという程度だが、申し分ない。そして、柿沼製粉「つくばの里・そば工房」に到着した。時刻は正確には覚えていないが11時前だったと思う。守屋サービスエリアで大休止をとっていても楽々の到着である。



「つくばの里・そば工房」は、私のクライアントである茂野製麺の茂野専務から、話には聞いていたし、写真も貰っていたのだが、私の想像よりも遥かに目立たない場所にあった。メインの街道沿いにも無いし、大きな看板も無かった(ような気がした)。建物の裏手は田んぼや畑。建物の前からは筑波山が格好よく立派にそびえていて、風光明媚である。

写真の左がその「つくばの里・そば工房」。駐車場が広い。到着したときは我々だけでお客さんの姿は無かった。右の写真は、水車。本来ならば川の水でまわすのだが、水量が不足しているので、地下水を汲み上げ回している。そして、その水車の動力で石臼を回し、そば粉を作っているのだ。

「つくばの里・そば工房」で売っている「そば粉」は石臼で挽いているのが特長。石臼で挽くと何故美味しいかかは、長くなるので割愛する。要するに風味が損なわれないのである。店内には、そば好きには実に興味深いものが色々置いてあったり販売してたりする。まず、手打ちそばを作るのに必要な材料(「そば粉」はもちろん、「打ち粉」や「強力粉」など)や道具(手捏鉢、のし棒、など)が一通り揃っている。そばの作りかたやうどんの作りかたの指南もあり、そのビデオまである。更に、石臼のレプリカや石臼の本体まで売っていた。もちろん、実際にご家庭でそばを打つ場合に石臼でそばの実からそば粉を作って、というのは厄介であるから、殆どそば粉として完成したものを買うのだろう。石臼で挽いたそばの旨さに魅了され、家庭でも挽きたてを味わいたいという人は、石臼まで購入するのだ。

実は、茂野製麺ではこの「つくばの里・そば工房」のそば粉を仕入れ、今秋から「手折り・常陸秋そば」を発売した(上の写真の赤いラベルのパッケージ)。また、この日これから訪ねる人気店、そば処「山居」もこの「つくばの里・そば工房」のそば粉を使っているのだ。いずれにしても麺づくりの達人たちの御用達として柿沼製粉が選ばれたわけだ。更に、「つくばの里・そば工房」は自家工場での麺の販売もしている。生蕎麦は人気があるのか、私たちが行ったときには既に売り切れだった。生のうどんもあったが、帰宅後すぐに食べられないと思ったので、買い控えた。その代わり、乾麺は、2家族分(お土産として)たっぷりと買った。その一例が(左)上の写真。代表的な「常陸秋そば」はもちろん、めずらしい「ひも川」というものなど、色々取り混ぜた。早く食べてみたい。



上の写真は「つくばの里・そば工房」の裏側にある「そばの畑」である。正面の山はもちろん筑波山。手前の右側、白い建物が「つくばの里・そば工房」である。なかなかいい感じだ。そばの花は既に盛りを過ぎて、実になるところ。右上の写真は同所での妻子。その下は、地元の中学生によるクリーン活動だと思う。すれ違いざまに大きな声で挨拶をされた。気持ちがいいものだ。



上の左がそばの花。実にになっている部分がお分かりになると思う。これがもう少しすると、表皮が茶色くなってゆくのだ。右は、一見、その上の筑波山のように見えるが、実は加波山(かばさん)といって、やはり常陸を代表する名山なのである。ただ、筑波山があまりにも高名なので、その陰に隠れている。

「つくばの里・そば工房」には、たくさんの資料(パンフレット等)が置いてある。自社製品のご案内や、通販用のパンフなどであるが、「手打ちそばの作りかた」や、「手打ちうどんの作りかた」などの図解入りのノウハウものもあって楽しい。単に商品を作って売るだけではなく、麺文化に対して、きちんとした啓蒙活動もやっているし、また、真壁町の文化や観光にも大きく寄与していることに共感を覚えた。
>>> 柿沼製粉のホームページ



「まかべ」パンフの裏側にはイラストの地図があり、割とよくできていると感心する。左は、一部拡大。桜土浦インターから408号線で、つくば学園都市の中を通って、という私たちのルートも一目瞭然。

また、今回は割愛したが、真壁町には、旧家などの古い建造物がたくさんあるらしい。是非とも次回行くときはゆっくり市街も観光してみたいものだ。

30〜40分、「つくばの里・そば工房」に滞在してから、次の目的地である石岡市の「山居」(さんきょ)に向かった。渡された手書きの地図には湯袋峠を越えて筑波の向こう側に行くので、難儀だろうと思っていたのだが、案外早く山越えが出来た。一本道で駐車場も無いので、写真に撮れなかったが、山あいの道はなかなか景色が良かった。途中に水汲み場があって、数人並んでいた。名水なのであろう。





そして、筑波の東側、つまり石岡市へと下りてきた。上は、確か木幡という地名のところ。昭和の初期に建てられた感じの大きなお屋敷が建ち並んでいる。もっと古めかしい土蔵があったり藁葺き屋根の家まである。上段の左側の写真は石岡市側から見た筑波山である。ここまで下ってから、「山居」へは別の道で再び筑波方面へ少々登りなおす感じだ。

茨城フラワーパークを通り過ぎて、やや勾配が増したあたりに「山居」はあった。それほど目立つ建物ではないが、その辺りには民家が無いので、すぐにわかった。本当に山の中の一軒家という感じである。夜だったら寂しいだろう。しかし、車が駐車場にいっぱい入っていることで、物凄く賑わっているのがすぐに分かった。



上がその「山居」の写真。左側の写真の正面が茨城フラワーパークへの方向。ご覧の通り、あちら側からだと坂道を登ってすぐだから分かりにくいかもしれない。常磐道の土浦北ICからだとまったく反対のルートになる。右側の写真は、道路の反対側から見た「山居」。山小屋風の建物が店舗。正面の稜線は筑波から続くものだと思う。とにかく山深いところにあるのだ。お店の場所は「茨城県石岡市柴内194-1」。地図だとすぐ近くのランドマークが1〜2Km離れた茨城フラワーパークなので、ズバリ言えないがだいたい>>>この辺り<<<ではないかと思う。



私たちが行ったのは午後1時30分を少し回った頃だっただろうか。ピークは過ぎたかと思われたが、山小屋風の店の前にはご覧の通り、待っている方々が10人ほど。しかし、車の中で待っている人もいたし、私のように、駐車場内をぶらぶらしているような人もいたので、15人くらいの方々が待っていたのではないだろうか。

右の上下2枚の写真は、店舗のほぼ西側(だと思う)に突き出たバルコニー。この下は谷になっている。つまり店舗は傾斜地に建っているわけだ。バルコニーは2席あって、ちょうど行ったときにはお客さんが座ってなかった。ここを狙うにはタイミングだから難しい。でも、大自然の山々に囲まれて、そばをすするなんて、思い切り贅沢なわけだ。11月の上旬には紅葉もさぞや綺麗だろう。



店の入り口には、「常陸秋そば」の木製の看板が掲げてある。柿沼製粉の「つくばの里・そば工房」に置いてあった(売っていた)ものである。そして、狸の置物のところには「待ち時間30分です。」と書かれた紙と、名前を記す紙とペンがあった。

私たちは、4組目くらい。実際には40分くらい待って中に入った。景色の良いところだし、空気もうまいし、待っている間はそれほど苦にならなかった。ただ、驚いたことに、2時を回っても、続々とお客さんが来るので、表で待っている人の数が一向に減らないのである。私はそこまで人気店とは知らなかったが、次回また行くときは相応の覚悟が必要である。



店内は外観から想像するよりも広い。入り口を入って右側がテーブル席、右側が座敷になっている。正面は、厨房。私たちは座敷に上がった。座敷は板敷きで、それぞれは座布団の上に座る。外観も中もログハウス的なのだが、この座敷と座卓、座布団の組み合わせで和風が強調されている。奥の窓からは前述した外のテーブル席で食べる人が網戸越しに見える。


注文をする前に地元の名物という「ちぎりこんにゃく」(写真左)が出てきた。私たちが取材で行っているので、そのもてなしなのか、今日だけのサービスなのか、それは分からない。ただ、メニューにあって、注文しようと思っていたものである。トッピングされているのは生姜おろし。

さっそく食べてみる。キーンと冷たくて、しこしこしている。生姜醤油がまた良い。なんと表現してよいかわかない素朴な味わい。クセになりそうだ。そして、次に「もつ煮込み」(写真右)を食べた。注文する時に、おそらくこの状態だと「そば」は相当時間がかかるのではと思い、妻子の要望もあって早めに注文したのだ。空腹も手伝って、この「もつ煮込み」は絶品だった。とろーりと溶けるくらい良く煮込んだ「もつ」。しゃきしゃきっとした白ネギとのバランスも最高。ご飯があったら間違いなくいいおかずになるし、酒があったら最高の肴になる。



さてさてお待ちかね。注文した「野菜天ざる」(900円)が出てきた。結構ボリュームがある。ぱりっとした天ぷらもいい感じ。抹茶(?)の混ざった塩で食べると風味が更に豊かになる。食べ比べのため、妻は普通の二八、私は十割そば(200円増し)を食べた。中細でやや固めの麺だが、適度なもっちり感がある。コシも相当なものだ。その傾向は十割そばのほうが顕著。常陸秋そばの看板がかかっているだけあって、常陸そばのほのかな香と、喉越しの滑らかさ、そして、筑波山の伏流水が織り成す上品な味を満喫できる。もちろん、これだけの味を出すには最終的にご主人の腕前になるわけだ。

かなり前のこと、都内で十割そばを食べたときに、ぼそぼそとした感じだったので、それが特長かと思ったことがある。「十割はコシが無くて仕方ないのです。どうしてもコシがあるのが好きな人は二八がいいのではないでしょうか。」ということをそのお店のご主人が言っていたような気もする。決して間違ってはいない。本当に、味、喉越し、コシなどの要素を全て一定レベルでクリアしているのは十割ではなく四六や二八だそうだ。言い換えれば、十割は難しいのだ。

後から茂野製麺株式会社の茂野専務が、「十割であの瑞々しい味、コシの強さが出るのは、いいそば粉を使っているからこそ。そして、手打ちだからこそ。きちんとこねている。あのお店(山居)の十割そばは美味しいですよ。」と、大絶賛していた。製麺を生業とし、また、全国色々な「そば」や「ラーメン」を食べ歩いている方が言うので間違いはない。わざわざ遠くから出かけていっても損の無い店である。また、同氏は「山居」の一番のお勧めを「鴨ざる」(1100円)と言う。もう少し早く(行く前に)言ってくれたらそれを注文したのに。(苦笑)

尚、この「山居」の拙リポートは、茂野製麺のWeb Siteの「麺紀行」にも掲載されているので、ご覧ください。右上の写真はご主人。ちょっと忙しい時いお邪魔して失礼しました。柿沼製粉のサイト(店長日記)には、6年前に脱サラをしたと書かれている。6年でこれだけの店にしたのだからたいしたもんだ。

>>> 茂野製麺の「麺紀行」第3回(そば処「山居」)リポート Zaki記



たっぷりと美味しいおそばを楽しんで、「山居」を出たのが3時少し前か。これはいかん。余韻を楽しむ間もなく、慌てて車に乗り込む。そう、今日の最大の目的は(もちろん、仕事優先だったものの)、筑波登山なのである。山の天候は変わりやすいし、しかも夕刻である。雲の多さが気になったが、せっかく来たのだからと山頂直下の「つつじヶ丘」に急いだ。フラワーパークから「山居」まで来た道をそのまままっすぐ行き、突き当たりを右に行くと山頂方面である。

ただ、残念ながらこのページもだいぶ縦長になり、またデータ量も大きくなってきたので、「筑波登山」リポートは改ページすることにした。期待を持たせて申し訳ないのだが、もうちょっとお付き合い願いたい。上の写真は、なんという峠の名前か忘れてしまったが、パラグライダーが見えたので、立ち寄り休憩した時の写真。眼下には関東平野が広がっている。

>>> 筑波山(その2) 「登ってもいい山だ。」後編
単に遠くから眺めるだけがいいのではなかったと謝罪しつつ・・・
2006/11/4 Zaki




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