ベイタウン旅行倶楽部

遠くから眺めるだけで、胸がキュンと鳴る郷愁の山
筑波山(その2) 「登ってもいい山だ。」 後編

2006年10月22日 筑波山頂(女体山)877m。

まず、このページは、>>> tsukuba_02 <<<の続きなので、このページからご覧になった方は、是非そちらをご覧頂いてから再訪願います。申し訳ない。

「山居」のうまいそばを食べてから、ひたすら車で「つつじヶ丘」を目指す。ちょっと眺めが良い最初の駐車場で少し休む。私はすぐに出発したかったのに、妻子がどこかに行ってしまった。後で訊いたら、パラグライダーの飛び立つところを見ていたらしい。この時間が無いときに、なんてことだ。午後3時少し過ぎていた。天気も心配だが、薄暗いのが気がかり。



前のページで、この峠の名前を失念していたが、上の左写真の建物に「朝日峠ウッドセンター」と書いてあったので、思い出した。そうそう、そういう名前だった。眼下には、関東平野が、って、それは前のページで書いたか。(笑)



写真左・・・たぶんこの道のことをかつては筑波スカイラインと呼んでたような気がする。しかも、有料道路だったよね。いつから無料になったのか分からない。無料になったのは良いことだが、夜になるとサーキット族が多いのだろうか、路面にはご覧のようにたくさんのタイヤの跡が着いている。
写真右・・・途中の駐車場(ここの地名も忘れた)から見上げる筑波の二つの峰。左が男体山、右が女体山。



つつじヶ丘に3時半、到着。駐車場に車をとめて、これから山登り開始。
なんだこのけばけばしさは!と、何度来ても驚いてしまうが、案外ここ好きである。浅草の仲見世とか東京タワー1階の売店みたいな何でもアリの昭和レトロな雰囲気がたまらない。右は左の拡大写真。でかいガマは「ガマ大明神」で、キャッチフレーズが「日本一のガマ大明神」。笑っていいのかどうか分からないけど、くすりとしてしまう。



このお土産屋に隣接した「ガマ洞窟」も凄い。入場料は500円(大人)。「見れば納得」と書いてあるが、たぶん納得できないような気もする。稚拙な絵が余計に疑わしい。だいたい、この絵の人物の目はどこを見ているかわからない。とはいうものの、怖いもの見たさに、ちょっと覗いてみたいような気もする。



登山道は、そのガマ大明神の脇にある。登り始めはこんな感じ。途中、岩場もあるものの、それほど危険な箇所ではない。装備が無くとも普通の格好で登れる。ただ、出来れば、雨合羽(安いビニル製)でもあれば尚可。夕刻から登るのであれば、懐中電灯は欲しい。



この辺りも順調。徐々に高度を上げる。久々の登山。あっと言う間に、つつじヶ丘の大駐車場も小さくなってゆく。向こうの山の上に建つグリーンの屋根は京成ホテル。



つつじヶ丘からは山頂まで約6分で行けるロープウェイが発着している。(写真左)
この辺りまで来てから妻子と行動を別にする。(写真右)

実は、下山する人に、念のために頂上までどのくらいの時間がかかるか訊いてみたところ、1時間半かかるというのだ。1時間半だと登り始めが3時半だから5時になってしまう。5時だとこの季節、しかも曇り空ではかなり暗くなってしまう。帰りはロープウェイを利用したとしても、懐中電灯やその他の装備を持たないで山に入るのは危険である。

そこで私は、まあ30分くらい登って、適当に下山しようと妻子に話した。妻子はせっかく来たのだから山頂まで行きたいという。仕方ないので、では、登れるだけ登って、下山の時間も考えて、危うくなりそうなら下りてくるという約束で妻子を先に行かせた。実は私はもう既に玉のような汗がしたたち落ち、呼吸もまともに話が出来ないくらい弾んでいた。適当に、ちょtこちょこっと登って、すぐに下山しようと考えていた。かつてはあんなに登山をした経験がまったく役にたっていない。



ところが、さすがに15分くらい歩いた辺りで、急に心臓の鼓動が収まりつつあった。登るペースを落としたのもあったが、潤滑油が体中を巡ってきたようで、足取りが軽くなった。どうせ途中までしか登らないんだ、という気楽さもあった。



全般的には、写真左のようになだらかな勾配である。ただ、写真右の標識の辺りから急峻になってゆく。その標識には「女体山頂 1Km」と記されている。全行程が2Kmだから半分登ったことになる。時計を見ると30分も経過していない。しかも、まだまだ余力がある。ということは、ひょっとすると山頂に行けるかもしれない、という希望が沸いてきた。

後日分かったのだが、筑波山のガイドブックなどを見ると、つつじヶ丘から女体山頂までは1時間と書かれているものが多い。1時間半と1時間では全然違うのだ。



傾斜がきつくなると体もきつい。ロープウェイで登ればよかったと何度心の中でつぶやいたことか。しかし、景観が開けてくると眺めているだけで心が静まる。

写真右「弁慶七戻り」と書かれた岩のトンネル。巨大な岩が重なりトンネルを作っている。もちろん自然が作った情景。あまりにも凄くて、ドリフの探検隊のセットのような感じもする。これも後で分かったことで、あの話題の(?)亀田三兄弟が今年の6月にここを訪れたらしい。小さい写真だが、ネットで見た。次男が確か「浪花の弁慶」と言われているからか。



ここも凄い巨岩の造形。左は「高天原」。右は「出船入船」という。高天原は、巨大な岩の上にお宮があって、その前に立つことも出来る。登るにはそれなりのスリルがある。「出船入船」は、二つの岩が寄り添う隙間に出来たトンネルをくぐることが出来る。写真の右側を巻いて通ることも出来る。このような名所(?)が所々あって面白い。



「出船入船」を過ぎると、一旦、なだらかな坂を下る感じで、「え〜っ!せっかく登ったのに!」とがっかりする。でも、登れ、登れだけの道じゃないのが逆に疲れが取れるのである。上の写真は、終始、私の前を行くグループ。もちろん、私の後続にもグループがいる。それぞれのグループとグループには適度な間隔があって、決して同じところでかち合わない。たまに凄い勢いで私を抜いてゆく若者がいる。元気で羨ましい。私はマイペース。写真を撮りながら、また、小休止しながらなので、抜かれても仕方ないと自分に言い訳している。実際には汗だくだくで一所懸命登っているのだ。情け無い。



そろそろ頂上が近づいている。登山開始からまもなく1時間が経過しようとしている。微妙なバランスで巨岩が垂直に立つ北斗岩の脇のトンネルをくぐる。どこからか、「やっほーっ!」と叫ぶ子どもがいる。おそらく頂上から叫んでいるものと思われる。そういえば、時折ロープウェイが通過するときの滑車の音がするくらいで、実に静かな山登りだった。家族で来たのに、結果は単独行だった。登り始めの時、なまじ頂上までの所要時間を訊かねばよかったと後悔するも、しかし、そういうことだったから逆に開き直って、ゆっくりと写真を撮りながら登山を楽しめたのかもしれない。



ここが最後の踏ん張りどころ。頂上直下の急坂である。上のほうに、お坊さんが経を読むような大きな岩があり、帰りのロープウェイで説明のテープが流れていた。なんという名前の岩なのか失念した。いずれにしても凄い。

実はここで、急にまたどっと疲労感が沸いてきて、思わず大休止。頂上が近いということの安堵感が緊張を緩めてしまったのかもしれない。後続のグループがどんどん私を抜いていった。



じゃじゃーん。そして、最後のひと登りをして無事に頂上に立つことができた。女体山の奥の院の後ろに山頂を示す標識と、羅針盤のようなものが設置されていた。ご覧のようにほの暗い。結果的には「つつじヶ丘」を出発してから1時間10分くらい経過していた。まあ、こんなものか。でも5時前に着いてよかった。たかだか1時間余りのお手軽登山だったけれど、超久々だったせいか、妙に達成感が大きかった。もっとも、へろへろで、ロープウェイで登ってきた人々から見れば、「なんだこのオヤジ、やけに疲れちゃってんじゃないの!」という印象を与えてしまったに違いない。まったく日ごろの運動不足を痛感してしまうのである。



筑波山(女体山)の山頂は、ご覧のようにごつごつした岩の塊で、その上に立つとかなりスリリングな景観を楽しむことが出来る。もうそろそろ灯りのつく下界のつくば市、桜川市(真壁町)の辺りの街並みが霞んで見える。もう少し早い時刻ならば、また、もっと天気が良ければ絶景だったに違いない。また、是非ともリベンジしたい。



女体山の山頂からはもうひとつの峰、男体山が見える。そして、その鞍部には、回転展望台が見える。景色を眺めながら食事できるという。是非、次回は行ってみたい。筑波神社を出発点としたケーブルカーがその近辺に到着するらしい。そうそう、筑波神社も十数年前に行って、慌てて行ったからろくに写真も撮っていないので、もう一度行かなくてはならない。



女体山からほぼ真下にはロープウェイが見える。ロープウェイ単体で見ると、なんとでかい乗り物だろうと思うし、途中にある支柱にしてもなんどでかい建造物なんだろうと思うのだが、それでも大自然の中ではほんの小さな物体でしかない。

山頂で少々過ごし、頂上から2〜3分下ったところにロープウェイの駅があり、そこから再び「つつじヶ丘」へ下りた。5時少し前。ロープウェイから街の明かりが見えた。あっと言う間に「つつじヶ丘」に下りて、ケータイで家族に連絡を取り再会した。妻子も、もっと時間があれば、自分の足で往復したいと言っていた。

たかだか877メートルの低山とはいえ、侮れない山である。途中途中で出会う巨岩のオブジェ、そして、何者も遮らない頂上の景観。暫くはその筑波山に登った余韻が続く筈である。そして、すぐにでももう一度行きたくなっている。時間さえ取れれば、今秋にもう一度行ってみたいものだ。

>>> 筑波山(その2) 「登ってもいい山だ。」前編
単に遠くから眺めるだけがいいのではなかったと謝罪しつつ・・・
2006/11/4 Zaki





  Oretachi's Homepage Makuhari