「俺たち2」管理人による戯言

実は、2月18日(日)のロックコアの打ち上げをやっている最中(終わりのほうで)、ジャイネの玉置さんから、彼が行方不明になっていることを聞き、かなりショックを受けた。あれから2週間。


悲しいお知らせ
釣りにさえ行かなければ、、、しかし、彼は行った。



「たら・れば」の話をしても仕方ないのだ。それは分かっていても、なんとかならなかったのか今更ながら悔やまれて仕方ない。あの日釣りに行かなかったら、もっと遡れば、10日前に黒鯛の大物を釣り上げていなければ、あのポイントには行ってなかったと思う。また、事故に遭ったその日から2日後に開催されたベイタウンのロックコアに出演する予定だったら、釣りには行ってなかったはずだ。

あの日、あるいはその前の日に例年よりも早い春一番が吹き、海上は大きなうねりだったという。そんなときに、しかも夜、ゴムボートで離れ小島のようになところに釣りに出かける。危険なのは承知だ。そこまでして黒鯛を釣りたかったのか。何のために。確かに、黒鯛を釣るのには少々荒れたほうが食いはいい。それにあのポイントを見たらゴムボートでも渡りたくなってしまう。ある意味、少々リスクが無ければ黒鯛はなかなか釣れないのだ。

命を懸けることまでしなくてもよかったのだ。それは後から冷静になって考えれば当たり前のことだ。でも、10日前に50センチオーバーの大きな黒鯛を釣り上げている。2月6日に彼はジャイネの店内で得意気に我々に仕留めた獲物を見せてくれた。彼の顔には自信がみなぎっていた。そして、その後、実はそのシーバースに2回渡ったそうだ。事故の前にも1回行っている。つまり2月6日から事故の16日の間に3回。その3回目で事故に遭い行方不明になっているのだ。

再び、「たら・れば」の話に戻る。彼がゴムボートに乗ってすぐ、ゴムボートの空気が抜けていることに気づく。瞬間的に、同乗者が止める間もなく、彼は「(シーバースに)戻るよ。」と言い残して海に飛び込んだ。ご存知の方も多いだろうが、ゴムボートの空気室は分かれていて、ひとつがパンクしても原理的には沈まない造りになっている。ひょっとして飛び込まずに二人でゴムボートにつかまっていたら助かったかもしれない。

いや、それともゴムボートが2人の体重を支えきれないということもある。それと、仮に岸からどんどん離れてゆくような流れだったら、冬の海だから徐々に体力を消耗して、しまいには手が外れて海に沈んでゆくということも考えられる。それでも、ライフジャケットも無く、しかも冬の防寒具に身を包んだ体で、いきなり海に飛び込むよりは絶対にゴムボートにつかまっていたほうが、冷静に考えれば絶対にマシなような気がする。

しかし彼は海に飛び込んだ。咄嗟の判断なのだ。私には、彼が自分よりも6〜7歳下の同乗者に気を遣って、しかもゴムボートもその同乗者のものだったから遠慮して自らが海に入ったと見ることも出来る。同乗者の話だと、シーバースから僅かに離れただけなので、戻るのは容易と判断したのかもしれない。彼が飛び込んですぐに、シーバースに昇るハシゴにつかまったように同乗者には見えたらしい。

ところが実際には違ったのだ。ここからは推理なのだが、ゴムボートは物凄い勢いでどんどんシーバースから離れてゆく。即ち、海に飛び込んて、必死にシーバースのハシゴを目指す彼の体とは逆向きで潮が流れているのだ。結局、潮の流れに勝てなかったのだろう。目撃者の話だと同乗者が着岸した後もシーバースのハシゴの辺りで、彼の頭部に装着していたランプが点灯していたというのだ。ぎりぎりのろところで体力が消耗し、結局ハシゴを捉えることが出来ずに沈んでいったのだろう。

(続く)

しばざ記204 (2007年3月2日 記)

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[追記]

「たら・れば」の話は意味が無いとはわかっていても、ついついしてしまう。彼のブログなどももう何度見ただろう。彼の日記の最後は「パイプオルガンのコンサートに行った」という内容。その前の日記が「マリーンズ」のネタ。その前の日記、それが問題の「たら・れば」なのだ。

彼のブログからその2月6日のブログを転載した。(以下)



2007年02月06日
【いきなり初黒鯛52cm! でも・・・】

今年はさい先が良いかも・・・。午後に釣友から電話があり、面白いポイントが有るので、というお誘いを受けて夜の黒鯛釣りに行ってきた。満月!大潮!満潮前後!春の様な陽気!条件は最高!夜黒鯛用の竿が使わずに放置していたせいでボロボロになっていたので、釣友からのレンタルではなく、気分一新!新しい竿の購入を釣友に頼んで買ってきて貰い、気合十分で臨んだところまでは良かったのだが・・・。

一月の初釣りは見事玉砕に終わったのだが、本日夜、今年二度目の黒鯛チャレンジで、開始15分、いきなり52cm-2.55kgがガツンとヒットしてくれました。。かれこれ二年九ヶ月ぶりくらいの黒鯛ちゃんとのご対面が、黒鯛釣り師にとっては憧れの50cmオーバーとはラッキーでした。
でもこれも二度目。思い起こせば4年前にも、一年ぶりくらいでチャレンジした3月2日に54.5cm-3.04kgを釣っていました。二度ある事は三度ある??(期待!)
それにしても、今回は凄い。まともじゃない仕掛けで釣ってしまったのだから、きっと真面目に黒鯛狙っている人に知られたらぶっ飛ばされるに違いない。勿論、おふざけで釣りをした訳では無く、不測の事態に対応して、あくまでも真剣に、三段並継ぎ竿の穂先と二段目無しの、竿の手元にリール付けただけの道具立てでチャレンジしたのだ。
なぜならボートで堤防に渡ってしまったので陸に戻って忘れ物を取りに帰れなかったからだ。もしかしたら、穂先が付いた竿でやっていたら、あの魚は取れなかったかも知れない。そう!あの魚は穂先が無かったから取れたのだ!そうに違いない!なぜなら、一日に一度有るか無いかのアタリで、スッポ抜ける事無くガッチリ針掛りしてくれたのだから。
でも、釣り味は最低だった・・・。穂先が無いので魚との力比べも格闘も無く、コンコンッ!というラインを通じて伝わるアタリで黒鯛だとは分かったが、棒切れにリール付けた様な状態では、メバルくらいの重量感しかなく、あっさり水面まで上がって来てしまったのだ。釣友が差し出してくれたタモに納まった魚を見れば、一目瞭然でビッグサイズだと分かったのだが、な〜んか物足りない感じがしたのは事実だ。今度からは必ず忘れずに穂先を持って行こう!
きっと今日の場所に通えば、今年は4〜5枚は50オーバーを取れそうだ。一般の釣り人が動き出す4月までには勝負を賭けて、海が静かな寒い時期に楽しんでおきたい。(悲しいかな、暖かくなると世の中海はどこもかしこも人だらけになって落ち着いて釣りを出来なくなってしまうのだ)
今日は釣友と一枚ずつで二枚。しかし毎度の事ながら釣友のクロの方がでかかった。55cm-3.0kg。いや、オバケみたいにデカイ魚でした。1月25日にも55を釣ったらしいので(参照:黒鯛の巣)、もう今年で二枚目の50オーバー。羨ましい。


【本日の仕掛】
竿:穂先と二段目無しの落し込み竿1m(本当なら2.4m) リール:落駒 ライン:落し込み専用2号オレンジ ハリス:シーガーエース1.7号 針:デュエル環付きチヌ5号つや消し黒 オモリ:5B 餌:海で取ったカニ
☆冬の黒鯛釣りは、確実にビッグサイズが出るので、記録サイズを狙うならばお試しあれ。キーワードは、
人のやらない時間帯、人のやらない無名ポイント。防寒対策は万全に☆


この書き込みをした、その日に彼と会った。この日記は彼が行方不明になってから見たけれど、何故彼があれほどあの場所に行きたかったのかがちゃんと書いてある。いや、釣り人だったらそんなの当たり前の心理なんだ。私だって、2匹目のどじょうどこらか三十匹くらい立て続けに行ってしまうかもしれない。

今更「たら・れば」の話は無駄だけど、この日(2月6日)にまったく釣れなかったら、逆に散々な嫌な目に遭っていたら、2月16日(事故の日)の釣行は無かったかもしれない。あ、また同じことを言ってしまった。こんなことを私はいつまでもくどくど言い続けているだろう。

(2007/3/14)

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