名古屋のきしめん 名物にうまいもの無しって言うけど本当はどうなのよ
名古屋の名物のひとつに「きしめん」があるけれど、「名古屋できしめんは食べないほうがいいよ。」という言葉をよく耳にする。「みそかつ」と、「ひつまぶし」についてはあまりそういう噂を聞かないので、とりわけ「きしめん」はまずいのか。
そういうことを意識しない、おそらく十数年くらい前だったかに「きしめん」を食べたことがある。あれは、名古屋城の近くだったか。店の名前はもちろん、場所も覚えてはいない。でも、それほどまずくなかったような気もする。まあ、記憶にはっきり残ってはいないので、とても美味しいということはなかったようだ。
しかし、絶対にうまい「きしめん」があるはず。私は名古屋に来る前から「よし絶対にきしめんを食べるそ!」と心に決めていた。いや、ちょっと仕事の絡みもあって、本場の「きしめん」のリポートを書きたかったのもある。とはいえ、さて、どこにうまい「きしめん」があるのやら。連日仕事がきつかったので、下調べもろくにせず、とうとう名古屋に来てしまった。
時刻は午前11時。早いところいい店を見つけないと、混んでしまう。
| | 左: | 駅から割合近くにある市場。市場には絶対に地元の人しか知らないような隠れた名店があるはずだ。 | 右: | そして、段々シャッターを下ろしてゆく市場の中に潜入するのであった。 |
|
まずは、目抜き通りをざざっと見渡す。無い。おそらく地下街にはそれらしきお店があるのだろうけれど、そういう場所にあるのはたいていチェーン店だろうから、せっかく名古屋に来たのだから東京には絶対に無いお店で食べたい。そう思いながらいつしか足は市場のほうへ。
市場は未明が一番活気のある時で、私が訪れた昼前にはどんどん片付けて、店もどんどん閉まってゆく。そんな中、オモテに「中華そば」というのぼりに加えて、「きしめん」という文字を発見。やった!見つけた。市場の中ならば絶対にハズレはないと決め込んで、中に入っていった。そして巡りあったのが一番上の写真のお店。
6人くらいで満員になるような小さなお店。ご夫婦で経営されているようだ。
上は店内に貼ってあったメニュー。驚きは、私が注文した「きしめん」は350円だったこと。メニューを見ずに「きしめん」を注文したので、支払いの時に、その安さに驚いた。消費税込みである。この店で一番高いのは、店の名前を冠した「三徳中華そば」、「三徳うどん・きしめん」、「ざるそば」の600円である。なぜ、「天ぷら日本そば」よりも「ざるそば」のほうが高いのか、後で写真を見て気づいたので、そのときに訊けなかった。
さて、お味のほうはというと、かつおの味が非常に明確。やや濃い目かもしれない。幅広の麺にはこのくらいが良いかもしれない。安いからといって、手抜きしていないと思った。花かつおを最後に乗せるのが「きしめん」だと主張する店もあるようだが、これだけかつおの出汁がしっかりついていれば、それで十分のような気もする。
麺は、適度なコシ。そして、モチモチしている。しっかりつゆと絡んで美味しい。想像以上の味だ。これで350円は絶対に安い。おあげも美味しかった。非常に得した気分。凄く嬉しくなった。もう1日名古屋で仕事をするスケジュールだったら、もう一度この店で昼食をしたいと思った。おばちゃんもいい感じだったし。
店を出て、その後、仕事の件で一旦駅方向に向かう。このリポートはそこでおしまい。
・・・というはずだった。ところが、もう一度メシを食うことになった。そう、普通盛りのきしめんでは決して腹いっぱいにならないのが私の巨大胃袋。ついつい甘い言葉に誘われて、地下街へと向かった。
で、その店で注文したのがこれ(上)。ご飯が凄まじいボリュームだ。ミックス串揚げ定食。タレは味噌と合わせたソース。味噌汁は赤だし。いや〜、実に旨かった。先ほど「きしめん」を食べたのも忘れて、ぺろりと食べてしまった。案の定、それから夕刻にかけて物凄く腹いっぱいで動くのがきつかった。
毎回、毎回、食べた後にじっくりやってくる後悔の念。先日亡くなった植木等さんの持ちネタじゃないけど、「わかっちゃいるけどやめられない。」。まさに、そんな毎日なのだ。あ〜、ダイエットしなきゃ。
2007/4/30
しばざ記 236 |