シンプルなデザイン、そして、小麦粉、食塩、かんすい、だけでつくった、やはりシンプルな製法。それが都一の「中華そば」。
実は私が小学校の頃は1週間に1度くらいは食べていた。その頃、いわゆる日清や明星などのインスタントラーメンもあったことはあったけど、しかし、ちょっと本格的な味付けとなると、これだった。都一の「中華そば」には、スープが付いていない。従って、スープはオリジナルでつくることになる。化学調味料も使ってたが、昆布、鶏肉などから出汁をとり、ちょっと煮詰めた濃い目のしょうゆベースのオリジナルはうまかった。母がかなりいい加減な勘で作っていた。あるいは、惣菜屋で中華スープの素みないなものを買ってきていた。
また、この麺は焼きそばにも使った。むしろ、私の子どもの時は、これでつくった焼きそばのほうが多かったような気がした。中学生くらいのときには、自分で作ったりもした。自分でつくる場合には「日清焼きそば」(袋入り・粉末スープ)が主流で、買い置きが無いときにこれだったが、この都一は、いつでも我が家にストックがあったのだ。ストックがあったということは、まとめ買いしていたということで、まとめ買いしていたということは、つまり母が好んでいたということでもあるし、息子である私が「うまい、うまい」と言っていたからなのだろう。
都一(株)のホームページ(雰囲気がいい)
http://www.miyakoichi.com/
昭和5年の創業だという。「中華そば」の発売は昭和28年。
先日、スーパーでこれを見つけ、しばらくぶり(ひょっとすると25〜6年ぶりくらい)で買って食べてみた。不思議なもので、それだけ日数が経っているのにも関わらず、想像とまったく違わない味であった。懐かしいというんじゃなくて、当たり前の味だった。どんな味かというと、最近、茂野(製麺)の乾麺を多く食べているので茂野の東京ラーメンと比較すると、決定的に違うのは縮れ麺であること、そして、麺がやや細めであることだろう。適度なコシに、小麦粉ってこんなにうまいんだと思うくらいいい感じになる。もちろん、小麦粉で作ったほかの製品もうまいんだけどね。
それから、気のせいかもしれないけど、茹で汁の濁りが茂野のよりも少ない、つまり白濁の度合いが小さいような気がする。思わず茹でこぼししないで、そのままスープを入れてもいいんじゃないかと思ってしまうくらいだった。
<左>袋から取り出した麺。90グラムの麺が2つ入っている。即ち2人前。結構なボリュームだ。 <右>25〜6年ぶりに茹でた都一の中華そば。麺の固さもほどほどに、湯切りし立て。ぷりっぷりの麺だ。
ところで皆さんは、竹岡ラーメンという千葉県が誇るうまいラーメン屋をご存知であろうか。ちょっとややこしいけど、竹岡ラーメンと名乗る店が木更津にあり、商標登録しているけど、実は元祖竹岡ラーメンは、竹岡の梅乃家というラーメン屋さんなのである。今では都内に竹岡ラーメン「梅乃家」という看板を掲げている店もあるが、それもまた竹岡の梅乃家とはまた全然関係ないのだそうだ。
梅乃家は昔から知る人ぞ知るラーメン屋として、主に釣り人に愛されたのだが、そのうちわざわざこのラーメンを食べに東京方面からどっとやってくるようになり、超有名店になった。飾り気のない素朴な雰囲気の店である。その店の最大の特長が、乾麺を使っていることであり、その乾麺こそ、なんと都一の麺だったのである。
もっとも都一の麺を使っていることはかなり後になって知ったので、これを機に超久々に梅乃家のラーメンを食べに行ってみるか。
2006/4/5 |